里山再生ボランティア入門講座「夏秋編」7月

6月の説明会から始まった25年度第一期のテーマは「山の農業とたねを未来につなぐ!」。檜原村のような山間の集落で受け継がれてきた循環型の農業や、そこで栽培されてきた在来作物の特質や多様性について学びながら、里山再生や環境保全について考えていこうというのがねらいです。 

講座1回目「小麦の脱穀・製粉・調理」

2025年7月12日里山再生ボランティア講座1回目「小麦の脱穀・製粉・調理」を行いました。参加者は7名でした。

今年の小麦は小沢と藤倉2か所で栽培をしました。昨年の秋に蒔き、小沢の畑は6月19日に刈り取り、藤倉の畑は6月28日に刈り取りを行っています。サル被害が増える昨今、収穫物を干す場所には毎回頭を悩ませます。地元の方から昔は家の軒に干していたということを聞き、校庭にタープテントを建て周囲を網で囲った中で干しました。

今回の講座ではその小麦の脱穀と製粉をおこない、昔から食べられてきた素朴な昔おやつ「たらしもち」の作り方を教わりました。

まずは前回行った栽培物の見学

午前は、前回6月15日にセルトレイに蒔いた雑穀タカキビ、キビ、アワ、シコクビエの苗の成長の具合を見た後、今後定植を行う藤倉の畑(直前まで小麦が栽培されていた場所)の見学をしました。また、同じく6月15日に参加者と一緒に直接種を蒔いたヒエ畑の見学も行いました。

→皆さんと一緒に行った雑穀の苗つくり。残念ながら苗の状態は余りよくありませんでした。小動物に食べられた痕跡や、日当たり不足や、水のやりすぎなど様々な要因が考えられましたが、7月にスタッフが定植しました。

→こちらはヒエ畑です。こちらは大変良い状態でした。

小麦の脱穀・選別

午後からはいよいよ小麦の脱穀です。この日の講師、藤倉にお住いの舩木照枝さんが来てくださいました。

今年藤倉で収穫した小麦の束を持つ舩木照枝さん。少し湿っているとのこと。

脱穀は足踏み脱穀機を使って行いました。足踏み脱穀機は少しコツが必要です。参加者が順番に体験していきました。なかなか難しいけれど、初めての体験に皆さん興味津々でした。

ドラムを回転させそのまま速度を落とさぬように踏み続けながら、小麦の束を平たく持ち、穂が脱穀機の回転金具に当たるようにして脱穀します。

足踏み脱穀機は粒が飛んでいくため、事前に地元の方に聞いたやり方でカバーを取り付けています。

足踏み脱穀機にかけたものは麦の茎、穂も混ざっているため、ふるいにかけて選別しました。

それを唐箕にかけて選別します。唐箕はハンドルを回して風をおこし、軽い物と重い物とを分ける道具です。

殻など軽い物が風で飛び、質量のある小麦の粒がさらに重めの物と軽めの物とに分かれて2か所の出口から落ちてきます。

とはいえ、唐箕がどの家庭にもあったわけではなく、同じように選別するために昔使っていた道具「箕」の使い方を舟木さんが実演してくださいました。舩木さんの箕の扱いは一心同体。舞を踊るような手つきで動かし実を浮かせ風で殻を飛ばします。その見事さに皆さん驚いていました。

選別された小麦です。

小麦の製粉

今度は石臼を使って粉にします。舩木さんが石臼の挽き方を教えてくださいました。穴に本当に少しづつ粒を入れながら石臼を回していきます。重たい石臼の周りから粉が出てきました。これが皆さんよく知っている小麦粉です。

粒を入れる量や石臼を回す速度がポイントのようです。

石臼の間の粉も丁寧に集めました。

このまま全粒粉として食べることももちろんできるのですが、舩木さんは目の細かいふるい(キヌドオシ)を使ってふるうということで、そのやり方を教わりました。

小麦の調理「たらしもち」つくり

さて、いよいよ調理の開始です。昔からこの地域の方がおやつなどで食べていた「たらしもち」です。

ふるった小麦に水を加え、砂糖も少し加えました。多めの油を敷いたフライパンに流し込み、大きめのパンケーキのように焼いていきます。舩木さんが昔は囲炉裏でほうろく鍋を使って焼いて作っていたと話してくれました。当たり前のようにガスコンロを使って調理している今ですが、囲炉裏での調理はどのようなものだったのか?と興味がさらに深まります。

ふちが焼けてきたらひっくり返します。良い香りがしてきました。

今年収穫した小麦を自分たちで挽いて粉にして焼いた「たらしもち」を、皆で味わってみました。なかなか味わえない小麦本来の味です。もちというだけあり、モチモチとした食感もあります。

すでに挽いてある小麦を使って何枚か焼きました。こちらは小麦の外皮も入っているので、香ばしい味がしました。皆さん進んで焼いていき、皆でシェアして食べました。

それにしても、畑からお口に入るまでの工程はどれ程の手間と時間をかけていることでしょうか!

感想タイム

その後、舩木さんと一緒にお茶を飲みながら参加された皆さんに感想を聞きました。皆さんからは「郷土資料館でみたことしかない昔の道具が使う機会が持てて良かった」という感想が多く聞かれました。

あらためて、畑の作物が食べられる状態になることへの道のりを学ぶ良い機会になりました。私たちが「調理」と呼んでいる行為の背景には多くの働きがあるのだと感じることができました。

NPOでは今後も、今回協力してくださった舩木さんをはじめ地域の方から教えていただいた食文化を学ぶ講座を行っていきたいと思います。

(菅原)