10月15日 檜原村地域交流センターにおいて、雑穀料理教室「檜原村・食文化探検」第2回を開催しました。
1.増田先生のお話 「季節の彩りと雑穀〜お正月を中心に」
①雑穀と正月の儀礼
初めに、檜原村における雑穀や麦に関する儀礼(特に正月食や年中行事について)のお話を中心に伺いました。檜原村では、お正月には、雑穀の餅と米だけの餅の2種類作り、2つを重ね、おそなえにしたり、そのおそなえを仲人にも贈ったり、といった習慣があったそうです。また、小正月には、豊作祈願のために雑穀の穂を見立てたアボヘボ(粟穂稗穂)作ったということです。檜原村だけでなく、これまで増田先生が調査された各地の正月食や雑穀にまつわるさまざまな儀礼等のお話もありました。
②麦の儀礼
麦播きに関する儀礼として、シロコセエと洗濯ビマの話しをされました。シロコセエは、種まきのための畑地の準備をする際に小麦饅頭を土に埋めるといった習慣、洗濯ビマは、麦蒔きが終わった後に嫁が実家に帰る習慣だそうです。檜原村の麦に関する儀礼は、西日本(中国地方)などに比べると少ないということでした。
③檜原村の雑穀生産の時代について
大正時代までは大変盛んだったようですが、その後一気に生産量が減ったということです。
④雑穀と長寿について
檜原村と生活環境が似通っている山梨県の上野原棡原村は、かつて長寿で有名でしたが、生活が都市化するとあっというまに短命化してしまったということです。かつて、この地を調査した鷹觜 テル氏によると、棡原村では「雑穀を食べること」「毎日坂道を上り下りしていたこと」「太陽と風に当たっていた」が長命化をもたらしていたということでした。雑穀の価値を見直し、雑穀生産へ取り組んでいくことは、様々な地域で始まっています。この動きを広げて行かなければということでした。
2.黍(きび)団子作り
今回は、増田先生のオリジナルレシピで黍100%の黍団子を作りました。
炊飯器で炊いた黍を小分けして、ラップで団子状するというシンプルなレシピでした。今回は、手作りきな粉を付けて試食。めったに食べられない黍そのものの風味を味わうという貴重な経験ができました。
3.お話を聞いて
都市化、グローバル化によって、長い間受け継がれて来た豊かな地域文化はあっというまに衰退してしまいます。その中でも特に食に関する儀礼は、絶滅危惧種のごとく、人々の記憶から忘れられていることに気づきました。それらを掘り起こし、学び、もう一度地域文化のオリジナルな豊かさを取り戻すような取組みを続けていくことの大切さをつくづく感じました。(川上)