かつて檜原村では、味噌を作っている家があちこちにありました。山仕事に行く人たちは、大きな弁当箱(メンパ)に詰めたご飯と一緒に味噌を持っていき、焼いたり、近くで摘んだ山菜などを入れたみそ汁をその場で作ったりして、オカズとして食べたそうです。良質なタンパク質を含むお味噌は、厳しい山の生活をしている檜原の人々にとってパワーの源だったに違いありません。
私たちも、8年前から(ひのはら里山ファーム時代から)冬に味噌作りをしています。そのレシピは、地元の方に教えていただいたもので、だいたい麹3キロ、大豆7キロ、塩2キロという割合。毎年、米麹と麦麹の2種の味噌を作っています。
このレシピは、ネット等で見る他のものを比較すると、大豆の量が多く塩は少なめです。その為に、大豆の香りとコクの感じられる塩分の少ないお味噌に仕上がります。
今年の味噌作りは、春の気配が徐々に感じられるようになった3月5日に行いました。使った大豆は、もちろん自家産の地大豆と言いたいところなのですが、残念ながら、私たちが栽培した大豆は昨年の10月に(枝豆としておいしい時期に)イノシシの襲撃を受けてほぼ全滅。石川県産の有機大豆を購入した上での味噌作りになりました。
作り方は次の通りです。
① 前の日の朝に大豆を洗い、水に浸ける。
①を柔らかくなるまで(6時間くらい)煮る。
② 臼と杵を使い、豆の形が見えなくなるまですりつぶす。
③ つぶした豆を、予め塩とまぜてあった麹と合わせて樽に仕込む。
もっとも力が必要なところは、②の杵ですりつぶす作業です。子どもの時から色々な里山仕事で鍛えている地元のシニアの方々にとっては、それほど大変な作業ではないのかもしれませんが、都会育ちのひ弱な私たちには重労働に感じられます。しかし今回は、中南米から参加した男性陣3名ががんばってくれました。ラテンのノリで時々歌ったり、踊ったりしながら、無事予定通りの時間で終わることが出来ました。(今後の味噌作りでは音楽が必須になりそうです。)
さとやま学校・東京のある地区の近くには、かつて味噌屋さんもあったと聞きますし、ここで作った味噌もお漬け物も本当においしい。発酵には向いた土地なのでしょう。今、注目の発酵食品、お味噌だけでなくいろいろ試したいものです。(川上 )