12月22日 里山再生ボランティア入門講座〜檜原村の里山農業を学ぶ〜(説明会&体験)を実施しました。
講座の目的は
午前中、さとやま学校・東京代表の川上から今回のプログラムを行う檜原村藤倉地区の概略やプログラムの目的について簡単にお話しました。
今更、なんで昔ながらの農業なんて学ぶの?と思う方が多いとは思いますが、里山農業を学び実践していく意味について次のように考えているとお伝えしました。
1)ボランティアの力で里山農業再生をして檜原村の地域活性化につなげたい
水はけがよく昼夜で寒暖差の大きい斜面畑育ちの作物はとても美味しいし、最近なかなか口にすることができない本物の味がすると言われます。さらに伝統的な里山農業は、農薬や化学肥料を多用しないことから周囲の豊かな生態系を守り、在来種のタネやそこで培われてきた地域の食文化を守る事もできます。このあたりの畑は機械化や大規模化が難しく収益を目的とする農業には向きませんが、里山農業を続ける事によって檜原村の生活文化の魅力をさまざまな面から引き出していくことができると考えています。もっと多くの方に里山農業に携わっていただきたいという思いで、藤倉地区の循環型農業について学ぶ場をつくりました。
2)かつての循環型の暮らしを学び、地球の未来を考える場としたい。
毎日が厳しい重労働の連続だった山村の暮らしですが、そこには現代の都市生活が失ってしまった豊かさがあります。気候変動など、便利すぎる現代のライフスタイルが生み出している地球環境の危機的な状況の中にあって、かつて本当にあった持続可能な循環型暮らしを学ぶことは、これからの私たちの暮らしや未来を考える上で色々なヒントをもらえるのではないかと考えています。
地元の先生登場!
今回の講座では、かつて循環型農業を実際にやっていた方に講師になっていただき、地元の人々がその地域特有の環境をどのように活用していたかを学びます。
ランチタイムに地元の田倉栄さん、峰岸葵さんのお二人の先生が登場。今日のテーマは、「おっつけごしゃー」だよ。と田倉先生。藤倉地区の方言で、「そのあたりにあるもので適当にこしらえるよ」という意味だそうです。つまり、昔からリサイクル、リユースが里山暮らしの基本的な考え方なんですね。午後は、堆肥置き場作りをやることになっていますが、さて、どうなるか?
昼食時には檜原村の斜面畑で私たちが栽培した小麦を使った団子汁を味わっていただきました。季節の野菜(大根・白菜)入りで、味付けは煮干しがメイン。素朴ですが、身体が温まる一品です。
堆肥置き場作り
午後は、いよいよ里山農業体験です。といっても畑に行くわけではなく山へ向かいました。畑の一角に作る落ち葉堆肥置き場の材料(モミノキ)をとりに行くことが目的です。
かつて落ち葉は里山農業では堆肥にするために重要な材料で、晩秋になると地域の人たちは、大きなカゴを背負って山に入り、モミノキの枝を並べて作った大きな堆肥に入れたという事です。生活に必要なものはなんでも周囲からとってきたのが自然共生型の里山暮らし。何故モミノキが使われたのでしょうか?
10分ほど登って、モミノキのある場所に着きました。地元の先生方が切った枝を集めてまず道路に下ろします。モミノキの枝を見た時に、なぜ、堆肥置き場に使ったのかという謎が解けました。モミノキの枝はとても平たくていくつか集めると平面を作ることができるからです。今だったら、堆肥置き場の側面を作るとすると、ナミ板(波形のスレート板や亜鉛鉄板)を使ったり、合板などを使ったりしますが、そのような工業製品が全くなかった時代、人々はそれぞれの植物の性質を見極めて、それらを利用していたことがよくわかりました。
参加者たちは持てるだけのモミノキの枝を抱えて畑へ運びました。
時間の関係で、この日は2面しかモミノキを貼り付けられなかったのですが、参加者たちが中に入って集合写真を撮りました。寒い日だったのですが、モミノキの壁の内部は暖かく感じられます。単管パイプの長さを切り揃えたり、モミノキ枝をもうちょっと貼り付けたり、、堆肥置き場の完成までにはもうちょっと時間がかかりそうですが、3月のプログラム終了時までには、完成写真をお見せできると思います。(川上)