さとやま学校だより17号「畑仕事と子どもたち」

 私たちの畑にはいろいろな人たちが体験にやって来ますが、その中でひときわ畑を楽しんでくれるのは子どもたちです。だいたい子どもたちは、砂とか水とか土といった変幻自在な自然物が大好き。想像力が掻き立てられるのと同時に、それらと触れ合うこと自体を夢中になって楽しみます。土がいっぱいの畑はまるで大きな砂場のようなもの。子どもたちが楽しそうにしているのを見ると周りの大人たちも元気になります。

 畑はそれだけではありません。掘り返すと、ミミズが飛び出したりして、いろんな生き物とも出会える場です。以前、渋谷区の子どもたちが畑体験に来た時、一匹のミミズが現れただけで、何人もの子どもたちがわっと集まり、大騒ぎになったことがありました。大都会に住んでいる子どもたちがいかに自然と切り離されているか知ると同時に、都会では忌み嫌われる虫に子どもたちが偏見なく接しているのを見て、ちょっと安心しました。

 畑仕事の中でも子どもたちが好きなのは、何と言っても収穫でしょう。ジャガイモ掘りや大根抜きなど、土の中からひょっこりと見慣れた野菜が現れる驚きは何度でも体験したいようです。反面、苗の植え付けや草取りなど根気が必要な作業はちょっと苦手。畑作業に子どもたちが参加する時は、なるべく得意な作業を任せてやってもらうことにしました。それほど指導しなくて子どもたちは自分たちで工夫しながら、見事に責任を果たしてくれます。
 畑仕事ではありませんが、収穫した粟(アワ)を小さな臼でついて篩(ふるい)に掛けるという作業も、子どもたちを熱中させることがわかりました。ある時、3歳、5歳、8歳の姉妹に作業の流れを説明すると、作業を分担して協力し、かなりの量の粟の脱穀やってくれました。その時は、帰る時間になってもなかなか作業を止めたがらないくらい夢中になっていました。脱穀は、大人たちにとっては、ちょっと退屈な作業なので、子どもたちが手伝ってくれると大助かりです。子どもたちにとっては、臼や杵や篩という道具を使うことが、オモチャで遊んでいるみたいに楽しいのかもしれません。
 これほど夢中になれる時期だからこそ、子どもたちには、畑仕事をたくさん体験してほしいと思います。子どもたちは、畑仕事を楽しみながら、私たちが生きている世界の自然のこと、食べ物のことなど、多くのことを知らず知らずに学んでいくことになります。
 当NPOの畑仕事は、3月のジャガイモ植え付けから本格的にスタートし、ほぼ毎週末にやっていく予定です。子どもたちの体験参加も大歓迎ですので、関心のある方、ぜひお子様と一緒にご参加ください。(会員以外の方でもゲストとして参加していただけます)