農業が楽しいのは、収穫したおいしい作物をふんだんに食べられることかもしれません。収穫までに大変な苦労をしたとしても、また次の年も種を播こうという気持ちになるのは、その先においしいものが待っているからです。
それに、最近の食品は、何か工業製品のようで、そこそこ美味しくてもパワーを感じられない。そんな中、檜原村の作物たちはいきいき存在感ある味で、昔ながらの本物の味とは、どんなものかを私たちに教えてくれます。
NPOでは、畑仕事の日のランチは、なるべく自家産の作物をたくさん使った畑めしを作っています。
畑めしで一番活躍している作物はジャガイモです。ジャガイモは夏に収穫するのですが、時々芽かきをすれば、早春まで保存出来、冬に気温が下がると糖度を増してますますおいしくなって行きます。
ジャガイモが便利なのは、いろいろな料理に使えることです。肉じゃが、ポテトサラダ、コロッケ、フレンチフライ、と人気メニューがたくさんありますが、その中でもヘルシーで、畑仕事で疲れた身体をほっこりと癒してくれるのは、ジャガイモとその他の地元野菜をたっぷり入れ、自家製味噌で味付けした豚汁。ピンポン球よりちょっと小さいくらいのものを皮ごと入れると何度温め直しても煮崩れしません。
ちょっと気分を変えたい時は、海外の料理を作ります。ジャガイモは、トウモロコシ、米、小麦と並んで世界の四大作物の1つなので、世界中にジャガイモをおいしく食べるレシピがあります。レシピを見ながら、あるいは外国人参加者に教えてもらったりして様々な料理を作りました。アイリッシュシチュー、ポトフといった欧米系煮込み、スパイスからこだわって作るバングラデシュカレーやモロッコのタジン、フライパンで焼いて作るチェコのブランボラーキやフランスのガレットなど、どれもユニバーサルな美味しさです。
ジャガイモと並んで、当NPOの食料庫にいつも備蓄されているのが、自家製小麦(玄麦)で、電動石臼で挽いて使います。市販の粉とは違って小麦の風味が強く、全粒粉パンケーキやお好み焼きなどが現在の人気メニューです。また檜原村の代表的郷土料理の団子汁は、粉の味が決め手になるので、これから定番のメニューにしようと思っています。
私たちが、今年から本格的に取り組む予定の「斜面畑再生プロジェクト」は、そんなおいしい作物をたくさん生産出来る可能性に満ちた遊休農地を再開墾して、再び作物栽培の場にしようという取組みです。月1回でも継続的に参加していただける方が増えれば、かなりの畑を広げることができます。気が向いた時に参加出来るゲスト参加もありますので、ご興味がある方は、ぜひ畑にいらしてください。