重要文化財小林家住宅で小正月の飾りを作りました

新年が始まって間もない1月7日、国指定重要文化財小林家住宅で実施される「小正月の飾り作り」に、「さとやま学校・東京」の呼びかけで集まった人たちが参加しました。                     

小正月の風習は、豊作や家内安全を祈願する行事として農山村の暮らしの中では、とても大切な年中行事でした。しかし今は、ほとんど見られなくなっています。檜原村藤倉地区には、比較的最近までこの風習が残っており、子どもの頃に体験をしていたという地元の方に指導していただきました。今回作ったのは、以下の通りです。  

アボヘボ(粟穂稗穂)・・竹とフシノキ(ヌルデ)で作る豊作祈願の飾り。かつてアワやヒエなどの雑穀が作られていたのでこの名前がついたのでしょう。作った飾りは畑に立てたそうです。一般的には穂の数はもっと多いのですが、今回は、それぞれの参加者が、お持ち帰り用として穂が2つのミニアボヘボを作りをしました。

鬼叩き棒・・・フシノキ(ヌルデ)で作る厄除けの飾りで、玄関口に立てておきます。鬼の顔は、参加者が描きました。

・・・・・・米(雑穀?)あるいは炭を収納したのでしょうか? 俵もフシノキ作りました。

ダンゴバラ(繭玉)・・明治以降、昭和中期まで盛んだった養蚕で、蚕繭がよく取れるように祈願した飾りだと思われます。

小林家住宅へはモノレールで登りました。今回はアメリカ、イタリアからの参加者や小さな子どもたちもいて、とても賑やかです。晴天の1日で、青空に冬の山々がくっきりと浮かび上がっていました。

最初に大杉の会会長の小泉さんから、本日の作業の説明を受けました。2日前に小泉さんが付近の山から切り出してきたという木を使って木工細工するグループと、室内に飾る繭玉(ダンゴバラ)を作るグループに分かれて作業を行いました。

こちらは、木工細工のグループ。アボヘボを作るために木の皮を剥いています。

繭玉作りのグループ。指導は小林家住宅ガイドの長田さん。上新粉と小麦をミックスした粉を捏ね、繭サイズに丸めます。今回は、白とピンクの団子を作りました。団子作りには小さな子どもたちも参加しました。

室内には、すでに繭玉を飾るツゲとナラの枝がセットしてあり、それに作った団子を刺していきました。金柑もさしました。

どんどん華やかになってきました。まるで室内に花が咲いたようです。

だるまとフシノキで作った俵も並べます。

全て、完成しました。自分たちで作ったミニアボヘボと一緒に記念撮影しました。

繭玉やダルマの前でも記念撮影。

藤倉では、炭焼きなど冬も仕事が忙しい人が多かったために、小正月は2月3日の節分と一緒に祝ったそうです。家族みんなで力を合わせて何かを作ってお祝いした小正月の1日を、さまざまな世代の人たちが参加した今回のワークショップで感じることができました。それぞれの家庭で個性豊かな飾りを作った、かつての村の風景を想像して楽しい気持ちになりました。  (川上)